三価ユニクロ、三価クロメートってなんですか?

 ユニクロ、クロメートとは化成処理被膜(化学反応によって被膜生成する)の一種である。亜鉛めっき、カドミウムめっき等に用いられる。
近年、亜鉛めっきでは三価クロムを使用した化成処理が一般的になりつつある為、六価クロムを使用した「ユニクロ、クロメート」と区分が曖昧なケースがあり、一部お客様でも混乱を招いているようである。ここで、一般論と、大まかな分類、弊社の見解を下記に記載します。

六価クロム化成処理では下記四種類が主に存在する。ROHS指令に抵触する六価クロムを使用している。
・ユニクロ(白、青白)
・クロメート(黄色)
・ブラック(黒)
・オリーブ(緑)

 特にユニクロ、クロメートという言葉は「六価クロム化成処理の○○色」というのが正式であると考えている。というのも、そもそもこれは商品名に由来するという方もいる。

ROHS指令に対応した三価クロム化成処理のラインナップは基本的に下記の2種類のみである。
・三価白
・三価黒

造語
・三価ユニクロ
・三価クロメート

 この二点は正式な言葉ではない。しかしながら、一般的によく用いられる単語であり、伝票や図面にも記載されている。結論から言えばこの二点は全くの「同じ物」である。
 そもそも「三価クロメート」は造語である。「クロメート」という単語は「六価クロム化成処理の黄色」という意味である。そこに「三価」をつけ「三価、六価クロム化成処理黄色」。全くの矛盾であるというのが、学者達や開発者などの見解であるが、我々使用者や需要家にとっては便利な言葉であり、普段の取引から一般的に用いられている言葉なので否定の余地はない。

 しかし、問題というか、ややこしい一面もある。ユニクロ色は青白い光沢のある色調で、様々な業界に好まれているため需要は根強い。その色調をROHS指令に対応した三価でも欲しいということで「三価ユニクロ」と言うオーダーがある。しかしながら、やはり「ユニクロ」も正式な言葉では「六価クロム化成処理の光沢被膜」である。そこに「三価」を着けた全くの造語であり、矛盾であるが、便宜的に受け取っているのが現状で、実際は「青白く上げた三価クロメート」である。

三価ユニクロ = 三価クロメートを青くしたもの

 弊社では「三価ユニクロ」というオーダーに対しては「三価クロメートを青白くしたもの」になります。「三価ユニクロ」という薬液を使用したという意味ではありません、存在もしません。
 三価クロメートの薬液の使用領域のうち、青い白い色調が出る範囲を使用して青白い被膜を生成している。薬品メーカーのラインナップでも「三価白、青白」等謳われている物があるが、主成分は全く同じ物で、色調が出やすいように配合を調整された薬品というだけである。「三価有色」という薬品はその色が出やすい調合というだけである。

 「青白」の薬品を使用し黄色く上げる事も可能であり、「有色」の薬品を使用しユニクロ色に上げる事も可能である。三価ユニクロを取り扱っているめっき業者はこの手法を使っている。1液で双方を行う場合もあれば、自動で設定を変えられない業者は2液を保有して使い分けるケースがある。

 三価クロム化成処理には基本的に白と黒の2色しか存在しない。白といっても既に述べたように幅が広く、青白い被膜、ステンレスのような銀白色、若干黄色い干渉色を帯びた薄い黄色い物まで「三価白」である。一般的に言われる「三価クロメート」はこれらをさす。
 三価クロメートはユーザー様のご意向により様々な色調が求められます。上記にあるように「三価ユニクロ」「三価クロメート」は同じものです、という意味は、逆にいうと様々なユーザー様の好きな色調に仕上げること可能です。
 薬液、処理方法の設定により、青白~銀~黄色等、幅の広い三価の被膜をご提供出来ます。

色調による耐食性能

 色調による性能差は当初は色々な憶測が飛び交った。青白では耐食性が劣り、黄色い方が高耐食であると言われた。これは化成処理被膜の厚さにて、青いほうが被膜が薄く、黄色い方が被膜が厚いからと言われた。
 しかし、現在ではほとんど無いと言える。化成処理被膜の厚みよりも、処理液の安定化、生成された被膜密度、乾燥、めっき被膜出来による性能が良くなったためである。
 弊社においても、三価導入当初は青白では塩水噴霧試験72時間クリアが難しく、色調を黄色気味にしてクリアしていた。しかし、今日現在ではかなり青い被膜でも72時間クリアが可能になった。製品によっては青白の方が耐食性が高いこともある。青白いほうが被膜が円滑なので、外的要因を弾いてくれるのだと思う。
 私個人の見解であり、統計を取ったわけではないが、西日本は客先納入時において、三価クロメートは黄色ががっている。東日本では青白い三価クロメートが好まれる。
 黄色い被膜は六価が混ざっていると言われた時期もあったが、六価を使用しないでも黄色くすることは容易であることから、六価混入は被膜の色からだけでは判断しきれない。

 ただし、めっき耐食性を試験する中性塩水噴霧試験は試験の特徴により、全ての製品で同じ結果は得られません。

 

 

上記は弊社の独自見解も含まれます。ご指摘などありましたらお問い合わせからお願い致します。