2007年よりROHS指令が発令され、EU圏への輸出品に特定の有害物質を含む製品が規制されました。特に自動車関係の金具に広く「六価クロム」を含むクロメート処理された物があり、それらは全て規制対象となり、当該品目は代替品である三価クロムを使用した化成処理に全て切り替わりました。
クロムとは元子番号24、Crと表記。大気中ではすぐに不導体被膜を生成します。その不導体被膜の耐食性の高さが利用されめっきによく使われます。金属としてのクロムに有害性は確認されていません。
六価クロムとはクロムの化合物のうち、酸化数が6の非常に酸化力の強い有害物質です。ROHS指令により使用禁止されているのはクロム化合物のうちこの六価クロムになります。亜鉛めっきにて使用されていた「クロメート」等はこれを使用しているので該当します。国内の使用は禁止されていません。
三価クロムとはクロムの化合物のうち、酸化数が3の化合物で、強い毒性はなく人体必須栄養素の一つでもあり、有害性はありません。自動車、弱電分野を中心に亜鉛めっきしたものは、ほとんど三価クロムを使用した化成処理に切り替わりました。正式ではありませんが「三価クロメート」等と呼ばれます。
JIS規格においては三価クロムの化成処理は規定されておりません。図面上等には「Ep-Fe/Zn○○」に「TC(トリクロム)」「三価白」「三価クロメート」等と便宜的に付け加えて記載する例が多いです。(当サイト内、JIS表記方法Q&Aのページへリンクしております)